私は9月28日、東京都調査業協会の研修に参加させて頂きました

調査スタッフのTです。
開場時間と同時に到着したにも拘らず、既に十数名の参加者が受付に並んでおり、会員達が持つ意識の高さを感じました。
研修開始時刻には100名近い人が集まり、参加者の職業割合が探偵100%という今迄にない緊張感をかもし出しています。
定刻通り、研修は始まりました。理事長挨拶では威風堂々とした態度で「今回の研修では、しっかり知識を持って帰ってくれ」とご挨拶をいただきました。もちろん、新人探偵である私は始めての研修ですので、得られるものはすべて持って帰ろうと意気込んでの参加です。勉強させていただきます。

1時限目は、『人権問題』についての講義

東京都総務局人権部同和啓発担当課長のSさんが講師を勤める。「築地市場の豊洲移転問題では大変お騒がせをしておりますが、私はあまり係わりの薄い部署な物でして、その様な質問などにはお答えできませんがどうぞ宜しくお願いします。」と、会場の笑いを誘った。
要約すると大きく2つ、簡単で難しい話。
1つ目は、今でも残る同和問題、部落差別をしてはいけないというお話し。探偵の業務と照らし合わせると、部落出身者かどうかを調べてくれと依頼があっても受けてはいけないと言う事だ。私自身、経験した事がないだけに遠い世界の話だと感じてしまうが、実際は日本国全体で強く残っている事らしい。
2つめは、例え探偵であろうと個人情報を含めて人権を尊重して活動してくれというお話し。仕事上、やむを得ず知ってしまうことは業務上仕方がないことだが、むやみやたらに調べて良い様な事ではないと心に留めて置く事。
「此処にいらっしゃる皆様方には云う必要のないことと存じますが、何卒宜しくお願い致します。」と懇切丁寧に締めて1時限目は終了した。
我々の様な探偵という職業を生業とする者は、常に向き合っていかなければいけない事柄を、少ない時間で纏めて教えてくれた。1時限目の講義はその様に感じた。

2時限目。元 北海道警察本部外事課、元 社団法人日本調査業協会副会長のMさんが講師です

『行き先不透明な業界新時代を迎えて~今後の業界の課題と教会活動を語る~』という題で、お話しを頂く。ちなみに配られたレジュメには略歴と副題しか載っていない。様々な経験を元に教科書に出来ないようなことを話してくれた。
探偵には探偵業法、正しくは〔探偵業の業務の適正化に関する法律〕という法律がある。M先生の言葉を抜粋して、授業内容を見てもらいたい。
「探偵業法が制定されてから約10年。現場で苦情や事件を見ていると、法律の効果は少なかったのでは無いだろうか。」「そもそも、悪質な業者を無くして正しい事をしようと決めたのが探偵業法だ。」「教養と誇りを持って、探偵として恥ずかしくない行動を取る様に!」
胸打たれる熱い言葉に、私は少し面を食らってたじろぎながら、必死にノートに書き取った。

3時限目は株式会社S鑑識証明研究所の鑑定士Sさん、鑑定人Sさんによる『指紋鑑定と筆跡鑑定入門編』

※鑑定実演風景
鑑識実演

日本で探偵というと、体の小さくなった高校生探偵や、有名な祖父を持つIQの高い高校生を思い浮かべてしまうが、実際その様な仕事は探偵ではない。という事は、鑑識の知識は必要ないのでは?と斜に構えている反面、こんなことも勉強できるのかと、私は講義前わくわくしていた。そのわくわくは講義後も変わる事無く終えることになる。
あまり表現しすぎると怒られてしまうので要約すると、筆跡鑑定は比較できる文字を集めて特徴を掴んで比較する。指紋鑑定は指紋を採取して特徴を掴んで比較する。当たり前に思えるかもしれないけれど、当たり前なことが難しい。
実際、どのように指紋を取るのかを実演して頂いた。良くテレビドラマでやっている方法と何も変わらなかった。ドラマの世界に入ったようだった。

4時限目は警視庁生活安全部生活安全総務課防犯営業第三係長、警部のOさんによる『探偵業の現状と今後の課題』について

「現在営業所は減少傾向にある。平成24年から右肩下がりである。探偵社には毎年必ず立ち入り検査を行う。今年の検査では探偵業法違反で処分された会社はないが、軽微な違反が多かったという。書面の不備が大半を占めている。小さなミスもいずれ大きくなる可能性があるので、ルールを守って正しく活動していきましょう。」
現職警察官の講義は、私が想像していたよりも穏やかで紳士的なお話だった。これは東京都調査業協会が今まで適正に業務を行ってきた成果だと思う。指導する必要が無ければ怒る必要もないのだ。警察って言うだけで警戒していた自分が情けないです。
研修を終えて。歴史ある大きな組織に所属して居る認識と、自分が探偵であると云う自覚を持ってこれからの業務に取り組もうと思える研修だった。一人前に成れるまで精進あるのみです!