先日のニュースを見て、またやられてしまったのか、という感想を持ちました。
昨日は詳しいニュースを見ていなかったのですが、今朝にちょっと詳しく出ていましたね。これまでに同様の案件を二件ほど調査しましたが、いずれも事後の事なので解決には至っていません。毎回同じ様なケースなので、事前に調査していれば防げていた事件なんです。
今回、東京は五反田の老舗旅館を舞台にした土地取引の詐欺事件ですが、今回も「成りすまし」の人物が契約時に現れたそうです。すでに幾つかのメディアではその成りすまし人物の写真を入手しており近隣での聞き込み調査を行っているみたいですね。
なぜこれを事前に行わなかったのか?という事に尽きると思うんです。本当の売主である老舗旅館の土地・建物の所有者と接触しなかったのは何故なのか?70億円にもなる巨額な土地取引を本人確認せずに行われたのはどうしてなのか?という事ですね。
以前行った同様の事件の場合は土地の所有者が親族名義で二名居り、その成りすまし人物は完全に別人でした。一応役所の提出する公的な書類はありましたが、これも本人に成りすまして作成されたものであり、役所の責任も少しはあるのかな?とも思いますが、実際に居住先に行って、本人と話をするだけで解決できたはずなのです。どうしてこういった簡単な事をしなかったのか?という事なんですが、売主と買主の直接取引ではなく、間に入っている弁護士や司法書士、町の不動産屋、仲介不動産屋など、まるで劇場型詐欺事件のような様相だったのではないか?と思います。
以前の調査の時には我々も成りすまし人物の顔写真は入手していたので数日間張り込みを行いました。直接聞きに行けば早いのでしょうが、面接拒否だったらしいのです。そこで探偵事務所への依頼がありました。
土地の所有者は両名とも80代のご老人で活発に出かける様子も無く、お手伝いさんが時折出入するという感じでした。数日張り込みを行ったところ、一名の方は車椅子で外出し、とても一人で契約に現れる事が容易な雰囲気ではなく、付き添いの方がいないと行動できない人物でした。本当に全く違うので調べている自分もビックリしたのですが、その時は契約修了しており、数億円は泡と消えました。
前回の調査のときは本来の売主の確認調査の他、法的な相続人である人物の行動調査、取引に関わった人物や不動産業者の調査など全般的に行いましたが、まぁ、怪しい連中でした。仲介の業者の事務所はもぬけの殻のようでしたし、町の不動産屋はすでになくなっていました。私はこういう大きな会社の大きな取引の場合はしっかりと調査するものとばかり思っていましたが、そうでは無いんですね。おそらくパソコン上での簡単な信用情報などを鵜呑みにした結果でしょう。
土地取引というのは基本的に仲介業者が入ります。しかし、売主との接触は契約時のみだったりしますよね。そこが盲点なのです。公的な書類があれば誰でも信用してしまいます。普通はそこで確認作業を終えてしまうのです。巨額な投資なんですからもう少し突っ込んだ確認作業が必要なのではないでしょうか。
そのために我々のような調査会社が存在するのです。